ヒビ・割れの原因
粘土の乾燥時のヒビ・割れは、収縮率の変化(引っ張るちからの強さ)によって起こるものです。
厚さが均等でなかったり、急激な乾燥等の変化が原因となります。
粘土分の水分がなくなり、表面が白くなったら完全に乾燥しますが、完全乾燥前に対策をとればヒビ・割れを防ぐことができます。
練りのコツ
粘土の練りをしっかり
成型の前に、粘土を均一の状態にするために練ります。
この時に粘土中の空気の気泡をしっかりと抜くことが大切になります。
成形時のコツ
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粘土を締める
指先やたたき板などを使用し、作品の各部をしっかり締めて、粘土の密度の差を少なくします。
また、口縁も締めて、密度を上げます。
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粘土の一部分に水を残して乾燥させない
電動ろくろや水を多く使用する成形時に作品(お茶碗、カップなど)の底に水が溜まってしまうことがあります。
水を溜めたまま乾燥すると、周りの粘土と収縮具合が変わり、ヒビ・割れの原因になります。
水が溜まったらスポンジやさらしで水分を拭き取るとよいです。
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角ばった部分を作らない
粘土カッターや針でカットしたままにすると角がとがったままになります。
または四角形や八角形でも角がとがったままですと収縮にムラが生じ、とがった部分から先に乾燥してしまいます。
面取りや角に丸みを付けると均等に乾燥しやすくなります。
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粘土の厚みを極端に変化させない
ヒビ・割れしにくい粘土の厚さは8~10mm程度です。
厚すぎても薄すぎてもヒビ・割れの原因となります。
また、作品の下の厚さが薄く、上が厚いような成形の仕方等をしますと収縮率が変わってきてしまうので、成形時の厚さは均等にしましょう。
なお、大きい作品になるほどヒビ・割れが発生しやすくなりますので、大きい作品づくりの際は作品の保存状態、成形の仕方に十分注意をして作りましょう。
乾燥のコツ
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乾燥を均一に行う
ヒビ・割れは乾燥と共に現れ、完全乾燥までに大きく広がります。
時々乾燥具合を見てヒビ・割れが出ていないかを確認し、出ていたら指で割れ部分を撫でて埋めるか、粘土で補修をします。
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ゆっくりと乾燥させる
自然乾燥で直射日光を避け、濡らしてよく絞った布などを巻いてゆっくりと乾燥させるのが良いです。
ただし乾燥を急ぐ場合は、直射日光やドライヤーを使用します。
一方向からでは乾燥にムラが出てしまうので回転させながら均等に乾燥を行います。
ワンポイント・アドバイス
陶芸の粘土は、磁器・半磁器・陶土の3種類に分けることができます。
その中でも一般的に多く使用されているのは陶土です。
陶土にも細目、粗目などの種類があり、粘土の状態によっても収縮が異なります。
粘土中の水分が少なくパサパサしていたり、水分が多くドロドロとしていますと、ヒビ・割れが起こりやすくなります。
成型時の粘土の硬さは、耳たぶくらいが良いです。
粘土の種類により、収縮率が異なり、磁器約20~30%、半磁器約15~20%、陶土約10~15%となっています。
収縮が大きい粘土ほどヒビ・割れが多く発生しやすいので、注意して取り扱いましょう。
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